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書評 森田玲『日本の祭と神賑』― 橋爪節也先生

弊社代表の森田玲が橋爪節也先生(大阪大学教授)から書評を賜りました。

<書評> 森田玲著 『日本の祭と神賑(かみにぎわい)』(創元社)

橋爪節也(大阪大学教授)

>摂河泉、京都をはじめ祭文化を知るための名著。

フィールドワークと史料をもとに祭の多彩な諸相を網羅しており、この分野の基本文献となる労作である。

出版社の解説には「多彩に展開する現代日本の祭を、まず神事と神賑行事に分類し、カミとヒトが織りなす基本構造から図解。神輿・提灯・太鼓台・地車・唐獅子などの祭具が、神事と密接に関係しながらも、人々の楽しみに応えて発達してきた歴史を明らかにする」とある。

私は場合、文楽「夏祭浪花鑑」ゆかりの高津宮の夏祭の地車囃子を毎年きいて育った。天神祭でもヂキヂン・コンコンと炸裂するお囃子である。鉦と太鼓の織りなすアンサンブルと龍踊り、船を連想させる地車の形などについて知りたかった。これまで適切にそれが分かる本はなかったが、本書の刊行で、はじめて知りたいことが分かった。囃子の旋律を示す符丁があることもはじめて知った。説明は懇切丁寧で、図や写真も多く、読者にそれを伝えようとする熱意がある。

著者の森田玲さんは、大阪府立岸和田高校から京都大学で学んだ。篠笛の演奏や指導、調査研究を行い、平成24年には第64回文化庁芸術祭大衆芸能部門・新人賞を受賞するなど、演奏家としても活躍している。

祭をテーマに文化を伝える、こうした真摯で誠実な刊行物を見ると心が和んでくる。

お祭って何とカッコいいんだろう!
この本を知らずに大阪・京都の祭を語るなかれ!