研究ニュース

森田玲による論文「カミの道行き―オイデ型・ハラエ型・ミソギ型」が公開されました。

森田玲「カミの道行き−ミアレ・ハラエ・オイデの三類型」『関西学院大学 社会学部紀要』第145号がWeb上で公開されました。 ダウンロード→ https://kwansei.repo.nii.ac.jp/records/2001542

 本稿では、日本各地に見られる様々なカミの道行きを「ミアレ型」「ハラエ型」「オイデ型」という三つに類型化し、それぞれの目 的と歴史的背景について論じた。
 本稿の主たる成果は、以下の三点に集約される。第一に、論者によって解釈が異なっていた「ケガレ」「ハラエ」「ミソギ」「怨霊」「御霊神」「悪霊」「悪神」などの概念を明確に定義した。これは、本論の考察に有効であるだけではなく、今後の祭研究にも応用可能な分析概念である。第二に、「ミアレ型」「ハラエ型」「オイデ型」という神幸祭の三つの理念型を用いることで、多様な様相を呈する祭の構造を的確に捉えることに成功した。第三に、「オイデ型」の基層に「ミアレ型との複合」や「ハラエ型の残存」を見出すことで、カミの道行きが静的・固定的なものではなく、歴史的に大きく変化することを明らかにした。