ご挨拶

  篠笛文化研究社のホームページにお越しいただきありがとうございます。篠笛は日本に古くから伝わる竹の横笛です。全国各地の祭の中で太鼓や鉦とともに祭の音風景を構成する祭具として育まれてきました。 篠笛は、透明で清らかな音色で様々な旋律を自在に奏でることができ、祭や舞台芸能の中で数多くの魅力的な旋律が生み出されてきました。篠笛の音は、祭の神賑をはじめ、歌舞伎の三味線音楽など娯楽の中でも吹き伝えられ、日本人にとって、なくてはならない「日本の音」となっています。

 篠笛文化研究社は、祭との関わりに始まります。篠笛文化研究社は、平成12年(2000)、大阪府南部の泉州にて「民の謡」(たみのうた)の名称で笛屋として産声をあげました。 岸和田祭の地車(だんじり)囃子の衰退の原因が楽器の変化(極細化)にあることを突き止め、笛の仕様の改善を目的として発足しました。 この問題に一応の目処が付いた十年後の平成22年(2010)には、岸和田に篠笛の販売拠点を残しつつ、より多くの情報の収集と発信力の強化を目指して、京都に本社を移し現在に至ります。 地元で笛を作る人がいなくなった、今使っているものと同じ笛が欲しい、もっと良い音色の笛は作れないかといった相談も少なくなく、それらに柔軟かつ適切に対応できるよう、日々研究を重ねております。

 篠笛が用いられる分野は大きく、「祭音楽」「三味線音楽」「(舞台型)篠笛音楽」「(舞台型)和太鼓音楽」の四つに分けられます。それぞれの分野で、多くの奏者が活躍しており、日本人ならどこかで篠笛の音を聞いたことがあるはずです。

 ところが現在、日本の伝統的な和楽器である篠笛が、危機的な状況に陥っていることは、あまり知られていません。特に「篠笛音楽」と「和太鼓音楽」の二分野で、西洋化の嵐が吹き荒れています。 篠笛の調律のドレミ化(西洋12平均律基準)が著しく、今、初心者の多くが「"篠笛風"洋楽調横笛(ドレミの笛)」を購入します。「ドレミの笛」が流行して久しいですが、篠笛文化研究社では、和楽器としての篠笛を大切にし「ドレミの笛」の製作は行なっておりません。

 篠笛を手に採る人は、大なり小なり日本の文化に親しみたいという気持ちを持っているはずです。それではなぜ、ドレミの笛を選ぶことになってしまうのでしょうか。それは、我々日本人のほとんどが、「西洋文化」であるドレミを、日本音楽をも説明し得る「科学」であると誤認しているからです。 これは、明治以来の学校での洋式音楽一辺倒の音楽教育による悪しき成果の一つです。

 篠笛の音を未来に伝えるためには、以上のような課題からも目を背けるわけにはいきません。特に、子供たちや若者たちには正しい情報を伝えることが大切です。今日も、日本のどこかで美しい音色で篠笛の魅力的な旋律が奏でられています。 「篠笛の文化を守り未来に伝えるために歴史に学びながら実践的に対処する」、これが、篠笛文化研究社の基本方針です。 奏者の期待に応える笛作りはもちろん、「篠笛の持つ魅力とは何か」、そして、それは「どのような歴史の中で育まれてきたのか」ということを考えながら、皆さまと一緒に篠笛を吹く喜びを共有して参りたいと存じます。



令和二年九月吉日
株式会社 篠笛文化研究社
代表取締役 森田玲


篠笛文化研究社の歩み

平成12年(2000)
岸和田、泉州地域の祭で流行していた極細の祭笛<地車(だんじり)囃子の衰退の原因>を標準の径の篠笛に戻すべく、大阪府泉北郡忠岡町にて笛屋「民の謡(たみのうた)」を開業
獅子田の篠笛とプラスチック製の篠笛(後の「篠音-しののね-」)の販売を開始
平成14年(2002)
4月学校の音楽教育への和楽器の導入を見越して『練習用篠笛譜面・其の壱』とCD「いろは」を製作。
9月代表の森田玲が岸和田祭の岸城神社氏子町(大阪府岸和田市)の地車(だんじり)の清祓式にて篠笛の奏楽(以後10年間)
平成15年(2003)
7月泉州(大阪府南部)の一部で途絶えていた伊勢大神楽の回檀の復活を目指し、国指定重要無形民俗文化財・伊勢大神楽講社の山本勘太夫組を岸城神社(大阪府岸和田市)に招聘し総舞を行なう(2013年まで)
岸和田だんじり囃子の笛の飾房の特注品の製作を開始
平成16年(2004)
代表の森田玲が「第七回なにわ大賞」特別賞を受賞
平成20年(2008)
1月法人化:株式会社「民の謡(たみのうた)」
2月大阪府下の祭を紹介するシンポジウム「摂河泉の神賑(かみにぎわい)」(主催:岸和田市青年団協議会)の企画を行なう(2013年の第六回まで 初回は「堺・泉州の神賑」)
7月岸和田城下の五軒屋町に本社を移転
平成21年(2009)
LPレコード「泉州岸和田だんじり祭」(コロムビア)を増補改訂版CDにて複刻
平成22年(2010)
3月京都三条大橋近くに「民の謡(たみのうた)京都店」を開業。より広範な地域との繋がりを目指す
9月京都・御寺泉涌寺・別格本山・雲龍院「お月見の会」にて篠笛の奏楽(以後毎年)
日本十二律調音篠笛「京師-みやこ-」の完成(笛師:森田香織)透明で艶のある理想の篠笛を確立
平成24年(2012)
7月祇園祭・岩戸山にて、代表の森田玲、および、森田香織が、宵山の神賑行事「天岩戸のカミあそび」にて篠笛の奏楽(以後、現在まで続く)
平成25年(2013)
2月古事記編纂千三百年記念「天岩戸のカミあそび」(京都府立文化芸術会館)の成果により、代表の森田玲が第67回・文化庁芸術祭新人賞(大衆芸能部門)を受賞
平成26年(2014)
2月代表の森田玲が、観世流能楽師シテ方・林宗一郎氏とともに、京都市芸術文化特別奨励者に認定
平成27年(2015)
7月代表の森田玲が、祭研究の集大成『日本の祭と神賑』創元社を上梓
7月東京教室開講(よみうり文化センター恵比寿)
平成29年(2017)
6月業務内容の明確化を図るべく、社名を、株式会社「篠笛文化研究社」に変更
篠笛の指導・研究の集大成『日本の音 篠笛事始め』を出版
7月岸和田店を閉店し、木彫刻「賢申堂」店内に篠笛販売所を設置(大阪府岸和田市本町)
岸和田だんじり囃子・鳴物専用篠笛「岸極-きしのきわみ-」を完成させる
平成30年(2018)
3月CD「日本の音 篠笛」発売
4月有斐斎弘道館(京都市)にて、代表の森田玲が講座を担当(「心で読み解く京の祭と神賑」)
7月本社を京都御所北に移転
9月CD「天地乃笛」発売
プラスチック製・篠笛(原型:山田藍山)を「篠音-しののね-」と命名
令和元年(2019)
7月祇園祭・岩戸山の童舞にて「こども教室」の成果を初披露
YouTube篠笛文化研究社チャンネルを開設
令和二年(2020)
1月よ~いドン!「隣の人間国宝さん」認定(関西テレビ)
4月有斐斎弘道館(京都市)にて、代表の森田玲が講座を担当(「日本の音を吟味する~ドレミがなくても大丈夫♪」)

所在地 ・ アクセス

[所在地]

株式会社 篠笛文化研究社

〒602-0805  京都市上京区桜木町413-1 (寺町通上立売上ル西入ル)
※「篠笛 玲月流」の稽古場・桜楓庵を併設

[アクセス]

地下鉄烏丸線「今出川」駅下車 徒歩約14分
京阪電車・叡山電鉄「出町柳」駅下車 徒歩約14分
※ 専用駐車場はございません。近隣のコインパーキングをご利用下さい。

お問い合わせ

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